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通訳者はつらいよ [通訳よもやま話]

本日(正確には昨日)は今のところ今年ナンバーワンのつらいお仕事でした。多分このまま順当にいけば、今年一番のつらい仕事になるのではないかと思います。

英語通訳者の仕事の醍醐味の一つは、いろいろな経験ができること。英語と日本語の間のコミュニケーションが必要なシチュエーションであれば、ありとあらゆる場面で私たち通訳者にお声がかかるわけで、普段の生活の中では出くわすことができないような、いろいろな経験が出来るのが日々楽しくでしかたありませんでした・・・。しかし「多様な経験」にはこんな落とし穴もあるんですね。

本日のお仕事は工場見学。

メカ好きな男子通訳者としては、工場見学のお仕事はとても楽しいお仕事です。今までもたくさんの工場の中で、お仕事中のメカの姿に心躍らせながら、お仕事をしてきました。ああ、でも今日はあんな恐怖が待ち受けているなんて・・・。

とりあえずは順調に工場見学が進みます。得意な分野のお仕事ということもあり、専門用語もすらすらと訳せていたこともあるのか、初めてご一緒する、お得意先の「おぬし、なかなかやりおるな」的な視線も感じつつ、楽しくお仕事をしてましたよ。見学が進むにつれ、階段・エレベータでどんどん建屋の上のほうに上っていたことはあまりきにしてませんでした。

「さあ、次はあのドアを出たところで説明しましょう」と引率の工場の方。

・・・ドアを開けるとそこは・・・。

地上40mはあろうかという天空の世界、しかも足場は頑丈なのでありましょうが、いわゆる鉄格子の、すぐ足元の下界がすーすー透けて丸見えな世界。

はい、ワタクシ、筋金入りの高所恐怖症でござんす。


ええ、それでも歯を食いしばって、視線をとにかくなるべく遠くに置いて、叫びだしたい衝動に駆られつつ、NOxだSOxだ、集塵機だ何だという専門用語をクリアしつついかにこの工場がいかにエコに優しいか、ガッツで通訳しましたよ。5分ほどでその場を離れましたが、自分をほめてやりたい、と思っていると・・・。

「次は屋上に行きます。地上80Mの世界が体験できますよ。」

・・・倍の高度ですか・・・何とかなりませんでしょうか?

そして屋上につきドアをあけると・・・。

そこは地上80mの神々の住む世界。目の前に広がる空、その下に遠く広がる青い海・・・そしてその素晴らしい景観と下界をわけへだつのはワタシの腰よりちょっと高いだけの柵・・・。そして時折、背中を軽くなでる、いたずらな海風(結構な強風で吹き飛ばされるんじゃないかとの取り越し苦労に気が気でない。)

その次の10分弱はまさに生き地獄ですよ。とにかく柵の2m以下には近寄らないように、へっぴり腰で、それでも何とか通訳だけは続けます。

そしてこういうときに限って見学者からは、質問が次々と飛び出します。

いえ、あなたのその好奇心は職務上当然ですし、むしろ素晴らしいと思いますがここは私に免じてどうかどうか、早めに切り上げていただけないものでしょうか・・・?

気まぐれな風がふくたびに「さとこ、さようなら、たいち、さようなら、僕は今まで幸せでした」、とプチ遺言など唱えつつ、何で他の人たちはこの状況が平気の平左なんだ、さっぱりわからん!と心の中で叫んでました。

屋上の見学が終わり、地上に戻るころには半ば放心状態。

見学終了後、質疑応答の時間もあったのですが、「何か質問は?」との問いかけに見学に参加したお客様がみな口をそろえて「もう質問はないよ」

ここにきて質問がネタ切れになるくらいなら、屋上での質問なんか早く切り上げてこの時のためにとっておきゃよかったじゃねえか、とごくごく一瞬極めて理不尽な怒りに駆られました。

・・・高所での行程中、とにかく根性で通訳を続けましたが、冷静になって振り返るとかなり挙動不審だったのではないかと思います・・・。お客様、申し訳ございませんでした。

とても気のいいお客様ばかりで、高所ストレス以外はとても楽しかったのですよ。帰り道、電車まで30分ほど時間があったので、駅前のパブでみなでビールで乾杯、ワタシも一杯ご馳走になりました。「よくやった」というお言葉は通訳の出来がよかったからなのか、顔面蒼白になりながら、とにかく最後まで通訳を続けたことに対する同情・ねぎらいだったのか、果たしてどちらだったのでしょう?


・・・閑話休題

今週末のライブのご案内です。皆様ぜひお誘いあわせの上、お越し下さいませ!

2010/7/30(金) 『BYP? presents 梅島池袋化計画 Vol.9』 at 梅島 Yukotopia 19:00 Open 19:30 Start Charge 2,000 Yen

http://www.yukotopia.jp/
会場tel: 03-3886-2996

東京ジャムシーンの総本山、Yukotopiaにて、いんちきジャムバンドBeg Your Pardon?がお送りする企画「梅島池袋化計画」第九弾!今回も僭越ながらBYP?が敬愛するミュージシャンの方々と共演いたします。

今回の出演は、

タジユキヒロ
浅野組
Beg Your Pardon?
吉田みのるバンド (仮称)
ねじ巻きboys

となります。


特に過去の出演者の方々のご来場をお待ちしております






梅池フェスでは広く出演者を募集しております。
ジャンル、編成は問いません。

どうぞお気軽にお問合せ下さい。

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